私たちのビジョン
市民自治こがねい
こんな小金井にしたい!
市民自治こがねいは、小金井の市政・まちづくりのビジョンを『こんな小金井にしたい/10の提言』として毎年ホームページで発表しています。
今年(2024年)重点とする「10の提言」は次のとおりです。
①気候危機対策、足元の小金井からできることを考えよう
②「新庁舎・(仮称)新福祉会館」~庁舎等複合施設建設
③「はけ」と野川を壊す都市計画道路はいらない
④LGBTQ・多様な性の尊重とジェンダー平等(女性の人権等)
⑤歩きたくなるまちづくり~地域の青い鳥、コモンを意識しよう
⑥防災~災害に対する備えと仕組み
⑦子どもをめぐる動き~子どもオンブズパーソンの仕組みをいかそう
⑧共に学び共に生きる小金井市条例をいかすまち~多様性を認め合える社会に
⑨PFASによる地下水汚染問題~可視化と対策を求めよう
⑩地域から「平和」の声をあげよう
これらをベースにこの1年の活動を進めます。あるテーマは実現に向けた運動として、またあるテーマは議会・市政へ働きかけ、またあるテーマは「散歩だより」の特集としてとりあげ、またあるテーマはイベントを開催していきます。もちろん、メンバーがそれぞれの運動・活動に積極的に参加していきます。
① 気候危機対策、足元の小金井からできることを考えよう
地球沸騰化に起因する異常気象。それに伴う大規模自然災害。いよいよ気候危機対策は待ったなしです。しかし小金井市では温暖化対策の計画があるものの、市内最大の事業所である市の公共施設からの2022年度のCO2排出は、2019年度比で6.1%増加(ただし再エネ導入分を考慮すると4.6%増加)、2006年度比では33.7%増加しているのです。市域全体では、2020年度実績を見ると、2013年度比で14%減少しているものの、2006年度比では3%増加しています。
計画の立て方が市役所版、市域全体版でばらばら。加えて、目標値も甘ければ実施計画も抜本的なものとは言い難く、気候危機対策を推進しようというメッセージが感じられません。
この現状に、市民団体「ゼロエミ小金井」が2023年12月に「市民との協働による気候危機対策の推進」を求め陳情しました。陳情は翌年1月の建設環境委員会と2月の本会議で採択され、これを受けて気候市民会議が前倒しで実施される方針が示されました。陳情の要旨は:
① 気候市民会議の早期実施
② 気候変動に関して定期的かつ継続体に市民の声を聞く機会の創出
③ 二酸化炭素排出削減のための市民の行動変容を促す働きかけの実施
市民を単に各家庭での省エネ取り組みの担い手としてでなく、削減対策を進めるための行政のパートナーととらえることは大切だと思います。生活者の視点は必要ですし、市内には様々な知見や専門性を持つ市民が住んでおり、それを活かさない手はないと思うのです。
まずは、小金井市地球温暖化対策実行計画(市役所版)と小金井市地球温暖化対策地域推進計画の目標の統合を提案したいと思います。そうすることで、気候危機対策をよりシンプルに実行できると思うからです。その上で、例えばこんなことができると思います。
取り組みをわかりやすくホームページ上で公開することも必要でしょう。それが市全体の気候対策の機運を高め、またそれを見た他自治体の取り組みとの相乗効果につながると思うからです。キビシイ状況下ですが、わくわくしながらみんなでチャレンジしていけると最高ですね。
なお、武蔵小金井北口の再開発では、南口に続き高層ビル建築が計画されています。高層ビルの環境への影響は甚大で、温暖化を招くものです。自然と共に生きる町小金井にふさわしい駅北口再開発を望みます。
② 「新庁舎・(仮称)新福祉会館」~庁舎等複合施設建設
2022年11月に就任した白井市長は、「財政的課題をクリアしたうえで、早期建設に向けて動く」と明言しました。
2023年6月には再開方針(案)が示され、議会に再開に係る予算を提出。コストダウンに資するかどうかの検証を行う修正予算案の可決を経て、10月31日~11月4日に市内各所で6回の市民説明会が行われました。市は、市民説明会での意見を踏まえ、建設に向けての関連予算を第4回市議会定例会に提出し、可決されました。
市民説明会では建設見直しなどの意見も出て、早期建設に向けた関連予算が可決できるかどうかが危ぶまれましたが、何とか早期建設再開に向けて一歩進んだ形となりました。
市議会の「庁舎等建設及び公共施設マネジメント推進調査特別委員会」では、跡地利用のことなども含め、まだまだ議論が続くことでしょう。私たちも引き続き注視し、折々に意見を届けるなど、市民の立場でできることを続けていきたいと思います。
③「はけ」と野川を壊す都市計画道路はいらない
2016年3月「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」で、はけと野川を分断する2路線(3・4・1号線、3・4・11号線外)が優先整備路線に決定され、10年以内に事業化することを発表してから8年目になります。
事業化へ向けて、東京都は2021年2月〜2022年8月まで環境調査を行い、その結果、動植物1,042種類が確認され、環境省レッドリストまたは東京都の保護上重要な野生生物種類については40種類以上確認されたことが分かりました。報告書の調査結果考察には、道路建設により動植物すべての生態系に影響する可能性があり、環境の変化が生じることが明記されていました。東京都はこの結果をもとに道路構造について委託会社へ依頼し「道路概略検討報告書」により「道路構造案」を確定、市民説明会を経て事業化へ粛々と進めていく方針です。
小金井市では、「はけと野川を壊す都市計画道路はいらない」を掲げ、当選した都議会議の漢人あきこさん、そして「事業化の中止」を公約し当選した白井亨新市長は、繰り返し2路線に対して事業化中止を求めることを明言しており、まさに「事業化中止」は小金井の民意です。
2024年1月26日、小金井市内で都市計画道路に反対し市民活動をしている5団体が連名で、道路建設予定地が国による「自然再生推進法」、都による「東京都における自然の保護と回復に関する条例」に基づく自然再生・保全地域とされており、重点的に活動をしている貴重な地域であることや、交通量の減少などをまとめた要望書を東京都へ提出しました。東京都は「都市における道路の必要性」の見解は一向に変えない姿勢で今後もあらゆる手段で強行すると考えられます。昨年に続き、東京都との攻防の正念場はまだまだ続きますが、諦めず、平穏で明るい、幸せな未来を目指し、この1年も踏ん張って事業化中止への道を突き進んでいきましょう。
④ LGBTQ・多様な性の尊重とジェンダー平等
(女性の人権等)
小金井市は2020年10月20日に「パートナーシップ宣誓制度」をスタートさせました。性的少数者への偏見や差別をなくすために市として、市職員・教職員への研修、市民向けの講座・講演会・図書展示、事業所や学校、医療機関へ性的少数者の人権尊重の取組みの周知等の施策を行うよう要望します。
2023年6月の国会で「LGBTQ(性的少数者)理解増進法」が賛成多数で可決されましたが、この法律にはLGBTQに対する差別禁止規定はありません。同年2月首相秘書官が性的マイノリティについて「見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」等、性的少数者に対する言語同断の差別発言を行い更迭されましたが、性的少数者への差別・偏見が根強い中、多くの当事者たちは、自分のセクシュアリティを公にすることが困難です。このような状況を変えていくためにも「LGBTQ(性的少数者)差別禁止法」の制定が必要です。又、この法律には、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利を認めると女性の権利が侵害されるとの考えから、『すべての国民が安心して生活できるよう留意』」との文言が加わり、あたかもトランスジェンダーが国民の安全を脅かすかのような誤った文言で、おかしいです。トランスジェンダーと女性双方への差別禁止と人権が保障され、多様なセクシュアリティを持った人たちが安心して暮らせる社会を作っていきたいと切に思います。
昨年は、これまでタブー視されていた子どもへの性暴力が表面化し、問題になりました。あらゆる性暴力は犯罪ですが、子どもたちが自分のからだや性、そして人権について考えるきっかけを作る包括的な性教育が必要です。
2020年から2021年にかけて行われた小金井が舞台の女子高生達を主人公にした性差別的な内容のアニメ放送のキャンペーンを市が後援したことに対し、「女性と人権を考える小金井の会」が2021年9月議会に「男女平等基本条例の理念を尊重し、小金井市の事業や後援を適切に行うことを求める陳情書」を提出しましたが、担当の総務企画委員会では、「このアニメは地域活性化に役立った」「表現の自由がある」という趣旨の意見が出て、3年近くも継続審査となっています。市議会が男女平等基本条例の理念を尊重することを切に要望します。
小金井市役所の部長職は11人全員が男性で、課長職の女性比率は21.4%(2023年4月1日時点)です。議論や政策決定の場における女性管理職をもっと増やし、ジェンダー平等を推進してほしいです。
ちなみに、防災担当を担う区市町村の女性職員の割合が全国平均で1割程度。多摩地域で小金井市・稲城市は37.5%(昨年4月時点。内閣府調査より。東京新聞2024/2/11によると、23区で渋谷区・港区は40%越え。東京都内平均16.9%、全国平均11.5%)とのニュース。小金井市の割合には少しほっとしましたが、災害時に女性・子ども・高齢者・障がいを持った人たちのニーズを把握し、いざとなった時に、迅速に対応することは必須です。
2024年4月に、様々な困難を抱える女性たちを支援する「女性支援新法」が制定されます。女性の人権を尊重し、当事者中心の支援が必要です。
⑤ 歩きたくなるまちづくり
~地域の青い鳥、コモンを意識しよう
小金井市マスタープランは「地域固有の資源である豊かなみどり・水をいかしたネットワークの形成、みどりの保全・創出、風景・景観の保全と形成、循環型社会の推進及び脱炭素化に向けた取組など、次世代に誇れる自然と都市が調和した持続可能なまちを目指す」とうたい、住宅周辺エリアで在宅勤務など多様な活動が行われるようになり身近な生活圏で憩いの空間の重要性が再認識され、仕事や休息・余暇にも活用できる居心地の良い空間へのニーズに対応したコンパクトで持続可能なまちづくりが求められる中で、居心地が良く歩きたくなるまちづくりを推進することが、都市に活力を生み出すことにつながります、とも書いています。
ところが実際には、それに逆行するかのような、観光資源(?)サクラ偏重の玉川上水や野川沿いの緑地管理、宅地化あるいは倒木の未然防止や落ち葉対策を理由に、剪定ではなくなぜか思い切りよく伐採されてしまう木々。そのたびにいかにそれらの木々によって癒されていたかを痛感するとともに、私たちが事前に手を打てるチャンスがほとんどないことに唖然とします。私有地内の木々の場合は特に。
これらの緑には公共性があると思います。所有者のものを超えて社会全体で共有すべき財産(コモン)であり、それをどうしたら皆が公正に享受できるか、使い続けられるか、地域住民を始めとする様々な人々が共時者となって一緒になって考えるべきではないでしょうか。
コモンは自然関係ばかりではなくサービス系のものにも当てはまります。たとえば都市農地の保全を目的にしつつも地域のコミュニティの核として機能する「わくわく都民農園小金井」をはじめ、買い物や農作業体験やイベントなどを通じいろんな世代、分野の人々が交流できるような市内各所での様々な取り組み。子ども食堂や子どもの居場所づくり、外国にルーツを持つ子供たちの学習支援など。これらの運営により多くの市民が興味を持ちそれぞれのスタイルで参加できるといいですね。こうやって小金井市規模の地域の自治に関わっていくことでコミュニティが活発化することを望みます。
⑥ 防災 ~災害に対する備えと仕組み
2024年の元日に起きた能登半島地震、ライフラインの復興が遅れていることが報道されています。1995年の阪神淡路震災から29年、2011年の東日本大震災から13年が経ちました。小金井の災害に対する備えや仕組みなどはまだまだ不充分で、意識啓発も含め取り組まなくてはならないことも多いと思います。
事前の備え、発災時にまず自分がするべきことや広域避難場所や一時避難場所の確認は個人でもできますが、住む地域での自主防災組織はどうなっているか、避難所運営などについて何ができるかなど共助の仕組みを整えていくことも必要と思います。
避難所に行きたくても過敏症や適応困難があるために行けない人に対しての配慮なども必要でしょうし、行政として取り組むべきことを提案していくことも考えていきたいと思います。
災害に対する備えの要は、日頃から誰もが暮らしやすいコミュニティづくりができているかどうかによるという考えもあります。改めて、暮らしに根づいた活動を心がけていきたいと思います。
⑦ 子どもをめぐる動き
~子どもオンブズパーソンの仕組みをいかそう
子どもオンブズパーソン(子どもの権利救済機関)は、子どもにも相談、申し立てができる仕組みです。2022年9月に中町に子どもオンブズパーソン相談室が開設され、意見表明権を含む子どもの権利の周知などの施策が一歩進みました。せっかくの仕組みを絵にかいた餅にしないためにも、地域の中の意識も変化していくよう取り組んでいきたいと思います。
2024年2月には、小金井市を会場に「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムが開かれ、全国の取り組みを学ぶこともできました。
小金井では、子ども持つ世代の転入もあり、学校や公立保育園の建て替えや、学童保育の場が不足していることなども課題です。
そして、公立保育園廃園に関しての大きな動きがありました。前市長が市議会の議決を経ずに市立保育園2園を廃止するための条例改正を専決処分したのは違法だとして、入園を認められなかった子どもの母親が入園不許可処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が2月22日東京地裁で言い渡されたのです。地裁判決は、専決処分による条例改正は無効だとした上で、廃園を理由に入園を認めなかった処分を取り消し、市に慰謝料10万円の支払いを命じました。東京新聞は「原告側弁護団によると、専決処分による条例改正を無効にまで踏み込んだ判決は珍しいという。保護者の思いに寄り添った判断となった。」と報じています。
白井市長は、2024年3月5日の市議会で判決を重く受け止めて控訴はしないこと明らかにしたので、地裁判決が確定しました。当該児童の受入れ、賠償金等の支払を速やかに行うこととなりました。
今後は、小金井市が地裁判決を受け入れたことで、「2園廃止」方針をどうするのか、今後の公立保育園のあり方をどうしていくのかがあらためて問われることになりました。
その後、2024年の3月議会の追加議案で、「市立保育園のあり方検討委員会設置条例」が可決されました。公立保育園の今後についての方針が、市民参加の委員会で示されることを期待しています。
⑧ 共に学び共に生きる小金井市条例をいかすまち
~多様性を認め合える社会に
「小金井市障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」の施行から5年、条例改正から2年が経ちました。そして、2024年1月末には第5次福祉総合計画(案)に対するパブリックコメントへの回答が報じられました。パブリックコメントをみると、さまざまな不安を抱えている方から、施策の充実を求める声があると感じます。
障がいはその個人にあるのではなく、社会の在り方こそが障がいであるという考え、社会的障壁や共生社会という概念は、少しずつは浸透しているのかもしれませんが、仕組みを整えるまでにはいかず、利用者ニーズに応えられていない現実があります。
2023年5月には「障害者支援施設を小金井市内に作ることを求める陳情書」が提出され、議会で可決されました。日中活動の場も不足、入所施設も小金井市内にはないことから対応が求められています。陳情が通っても課題があることから、実現するまでには時間がかかりそうです。不安を抱えながら暮らしている方も多いので、相談体制の改善や人材の確保も急がれます。
条例名の中に「共に学び」という文言が入っていることからも、保育・教育現場などでのインクルーシブな仕組みをという声が広がっています。インクルーシブな公園づくりということで、遊具を新しくすることになった公園もありますが、遊具を設置すればよいということではなく、共に遊び学ぶ環境づくりを浸透させていく必要があるでしょう。
また、障がいとは少しテーマを異にしますが、近年、外国にルーツのある子どもたちが、学校になじめない、学習支援が必要とされているなどの課題も耳にします。
2023年度の協働提案制度を使ってのシンポジウム「多文化共生の地域づくりを目指して~外国ルーツの子どもの教育支援」では、小金井市の取り組みはまだまだ遅れていることが指摘されました。学校内での対応、地域での取り組みなどを進めていくことが必要だと感じました。多様な、誰でもが暮らしやすい社会を目指して活動できればと思います。
⑨ PFASによる地下水汚染問題 ~可視化と対策を求めよう
がんなどの健康被害との関連が指摘され、欧米を中心に製造や使用の規制が進められているPFAS(有機フッ素化合物)による汚染は、今や私たちの住む多摩地域のみならず日本中で次々と明らかになってきています。
市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が研究者と2022、2023年に多摩地域住民791人を対象に行った血液検査の結果が2023年9月に発表されました。それによると、住民のPFAS血中濃度は、健康影響リスクが高まるとされる米国やドイツの指針値を超える例が多く(国分寺市民の血中濃度が最も高く、検査人数85人中92.9%が米国の指針値「7種のPFAS 合計値が20ナノグラム」超え)、小金井市民も検査を受けた22人中45.5%の方が米国指針値を超えていました。
地域住民が長年にわたってPFASに汚染された水道水を飲用してきたことが主な要因と分析されていますが、小金井市の水道水を管理する東京都水道局は、PFAS汚染度の高い上水南給水所の水源井戸からの揚水を2020年以降停止し国の暫定目標値以下になったので飲用に問題なしとし、地下水の汚染低減の対策は特に取られていません。
この高い血中濃度は、PFASが体内に取り込まれると長期間蓄積することと共に、水道水以外からも体内に取り込まれている可能性を示しています。地下水は公共水道以外でも利用されています。病院、学校や民間企業が所有・使用する井戸、あるいは農業用井戸など。地下水が流域の土壌を汚染している可能性も指摘されています。だからこそ、行政による広範で詳細な汚染の実態把握が必要なのです。検査・調査の結果、汚染されていなければそれで安心するし、汚染がひどければ使用禁止も含め対策が必要になります。
小金井では2023年にPFAS汚染問題に取り組む市民団体「小金井の水連絡会」が立ち上がり、3月に「有機フッ素化合物(PFAS)への市民の不安を解消するための早急な対策を求める」陳情を行いました。残念ながら不採択となりましたが、同団体はその後も積極的に情報を収集しそれを市民と共有する活動を続け、12月には白井市長と面談、「有機フッ素化合物(PFAS)汚染について対策を求める要望書」を提出し、小金井市には市が管理・所管する井戸及び希望する民間の井戸を対象に水質汚染調査の実施を、さらに東京都には血中濃度の調査を求めて粘り強く行政の対応を求めています。
自治体には、国の方針を待つまでもなく基礎調査を行いその結果を国に提供することが求められているのではないでしょうか?そのようにして積み上げられた自国のエビデンスに基づいてより実効的な国の指針値を策定するためにも。
⑩ 地域から「平和」の声をあげよう
2015年9月、「集団的自衛権の行使」を可能とする憲法違反の「安保法制」を安倍政権が強行採決し、「立憲主義」も踏みにじられるという民主主義の危機的状況の中で、市民が呼びかけ、平和団体・政治団体・政党が連携し「こがねいピースアクション」をスタートさせました。市民自治こがねいも賛同団体として参加しています。
発足から9年、ほぼ月1回のニュースを発行、駅頭での情宣、イベントなど、憲法9条改悪をストップ、「いのちと平和」をキーワードに多様な取り組みを続けています。3月の小金井「平和の日」には、市民サイドから連携し、絵本展、映画会、戦争体験を語り継ぐ集い、武蔵小金井駅をぐるっとパレードなどをおこなっています。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻は2年たっても見通しはたたず、イスラエルによるパレスチナ・ガザへの虐殺的行為も繰り返されています。
岸田政権になっても沖縄の民意を無視した辺野古新基地建設の強行姿勢も変わらず、それに加え、「台湾有事」をあおり、宮古島、石垣島などへの自衛隊配備、「敵基地攻撃能力」、軍事費のGNP2%の大軍拡、大増税を加速させています。新たな「戦前」が始まっていると言われています。
市民は駅前での「反戦アクション」で、市議会も「意見書」や「決議」で、地域から「戦争ではなく 平和の準備を」の声をあげていきましょう。
市民自治こがねいの小金井ビジョン
こんな小金井にしたい!
まちづくり
1.スローライフでまちづくり
2.武蔵小金井駅周辺のまちづくり
3.東小金井のまちづくりは地域の特性を生かして
環境
4.ごみは大減量、資源循環型へ
5.地球温暖化防止計画―省エネ・再生可能エネルギー導入の推進を
6.放射能汚染への対応・脱原発の取組みを
子ども
7.安心して子育てできる環境づくりを
8.今こそ「子どもの権利条例」をきちんと使おう
9.学校教育にもっと目をむけよう
格差・貧困
10.格差・貧困をなくすために
介護・障害者支援
11.高齢者・障がい者がいきいき暮らせる地域社会を
男女平等
12.男女平等の社会と生活をめざそう!
平和
13.地域から平和力のアップ、多文化共生の街へ
市民参加
14. 市民参加・市民協働のシステムづくり
15. 市民自治の拠点としての新庁舎建設と市の公共施設配置計画
16.議会基本条例を活用して開かれた議会に
17.一部事務組合と広域での事業連携を見直そう
公共サービス
18. 劣化する公共サービスの改善にむけて
19.これからどうなる小金井市の財政
まちづくり
1.スローライフでまちづくり
駅前一極集中の高層化・環境破壊の開発型ではない、昔ながらの地域の財産を大切にするスローライフ〜歩いて暮らせるまちづくりを。玉川上水・分水やはけなどの歴史的遺産を生かし、緑の散歩道や自転車専用道路・駐輪場の整備、余剰自転車を利用してのサイクルシェアを進め、景観重視を義務づけ、共同住宅は低層で、緑地確保・地産地消を推進し、生活圏の商店街を活性化する、そんなまちづくりを進めましょう。
市内のあちこちで農地や屋敷林が消え、緑がなくなる傾向がとまりません。高度利用に道を開く用途変更に規制をかけたり、景観保全のための条例制定や緑地確保のための積極的な施策が必要です。 野川とはけを壊す都市計画道路が都によって優先整備に位置付けられる中、市として野川やはけの自然保全に特化した条例や計画をつくるべきでしょう。
一方、はけのふもと、いわゆる坂下の地域に住む高齢者からは、エレベーターを設置できないかなど、坂下から坂上へのアクセスの弱さに起因する相談が寄せられています。環境保全に配慮しつつも暮らしやすいまちにしてゆくには、市民自身が主体的に議論に参加することが欠かせません。その仕組みである「まちづくり条例」の活用と改正が必要と考えます。
また、築30年以上経過したマンションや公営住宅は地震対策などからも改修や建て替えが迫られており、高層・高気密化ではない環境保全に向けた相談窓口や行政支援など積極的な施策が求められています。
小金井市空家等対策協議会条例に基づく、小金井市空家等対策協議会が設置され、市内の空き家対策と利活用について議論が始まります。本来は居住
2.武蔵小金井駅周辺のまちづくり
武蔵小金井駅南口第2地区の再開発は、国の補助が30億、都と市の補助金支出は15億円と、大規模な経費が投入されています。
2017年2月1日に工事が始まり、2020年5月竣工予定です。縄文土器の欠片が発掘されたため、7月末まで埋蔵物発掘調査が行われますが、今後のスケジュールに影響はないと見込まれています。
1月の説明会では、この間、組合の対応が丁寧でないこと、竣工後の風環境を懸念する声が挙げられていました。また、止水壁による地下水・湧水への影響が懸念されます。
駅前再開発は駅前だけの問題ではありません。市全体の回遊性や暮らしやすさはもちろんのこと、環境など公共の福利に直結する以上、その計画には近隣地域はもちろん市内他地域との関係性をも考慮に入れる必要があります。
市民参加による検討を重ねてつくられた小金井市都市計画マスタープランが少しでも多く反映されるよう、今からでも市と事業組合に働きかけていくことが必要です
3.東小金井のまちづくりは地域の特性を生かして
東小金井駅北口の区画整備事業は、「1.市民参加が不十分 2.情報公開が不十分 3.計画がバブル崩壊以前のもので前提条件に無理がある 4.お上の言うことには逆らうなという進め方」という問題を抱えたまま強行されました。市と地権者との話し合いの場「まちづくり協議会」を経て若干の計画変更が行われ、道路工事などは着々と進み、街の様子は大きく変わってきました。年に数回、審議会も開催されていますが、土地所有者や借地権者の代表によるもので、住民の意見を広く反映できる場はありません。整備は2019年度末に終了予定ですが、今後も注目が必要です。
東小金井駅にJR商業施設「nonowa」が開業され、三鷹から立川の沿線をつなげるプロジェクトが進められています。どこの駅にも見られるような施設・店舗づくりではなく、「東小金井らしさ」を出したオリジナリティある駅づくりが期待されます。東小金井駅南口や新小金井駅の商店街には個性的な店や老舗の店が多くあります。また、少しずつ新たな個人店も増えています。東小金井駅への一点集中にならないよう、地域コミュニティの核となる商店街の特性を活かした回遊性のある商業活性化を進めていかなければなりません。また、駅や商店街から離れた地域の人たちも、快適に安心して買い物ができるまちづくりも考えていかなければなりません。
また、東小金井駅南口は道幅が狭い割にタクシーなど交通量が多く、安全に安心して歩行できるよう、開発ではなく今あるものを活かし大切にしつつ、自動車の乗り入れ規制や歩行者天国などの検討が必要です。また、東大通りには自転車専用帯(自転車レーン)が設けられたり、栗山公園の大型遊具の下への芝生化が着実に実施されたりしており、より安全で安心できるまちづくりが重要です。
環境
4.ごみは大減量、資源循環型へ
現在、小金井の可燃ごみはすべて三多摩各市の焼却施設に広域支援として処理をお願いしています。日野市、国分寺市との3市共同処理については、浅川清流環境組合が設置され、2017年10月着工、2020年の本格稼働に向けて協議が進んでいます。2016年12月から、清掃関連施設整備基本計画検討会議が開かれ、2017年度末までに、二枚橋焼却場跡地の利用、中間処理場の更新、ジャノメ跡地のリサイクル事業所や缶・ペットボトルの処理なども含む計画が作成される予定です。
小金井の可燃ごみ量は市民の努力により年々減少してきました。広域支援で焼却しているごみを大量に減らすことが急務です。2016年度の可燃ごみ処理量は12,609t。2015年度の処理量12,700tより91t減となりましたが、5%の削減目標は達成できませんでした。2015年に策定した一般廃棄物処理基本計画では、2024年までにひとり一日あたりの排出量削減目標を356gにするとあります。不燃ごみも含めて2016年度は388gが目標値であり、2017年度は4g減の384gが目標数です。
リユース食器の活用、食品ロスを減らすフードドライブの試行、難再生古紙(シールの裏、感熱紙など)の拠点回収、枝木・雑草・落ち葉の定期的な回収などの新たな取り組みも始まっています。ごみの発生抑制と資源化の研究を進め、さらなる減量に取り組むべきです。
5.地球温暖化防止計画―省エネ・再生可能エネルギー導入の推進を
市全体としてのCO2削減を進める地球温暖化対策地域推進計画が、近年における地球温暖化問題や東京電力福島第一原発事故の影響や省エネルギーに対する関心の高さを受け、2015年に改訂されました。脱原発へのエネルギーシフトを着実に進めるために徹底した取り組みが求められます。
小金井市では電力自由化により新電力を利用していますが、原発を再稼働させないためにも、脱「東電=原発電力」にむけてさらに推進させましょう。
2015年に環境基本計画が改訂されました。街頭のLED化などESCO事業(民間企業による省エネ事業)が進められています。更なる再生可能エネルギーの積極的な導入など、思い切った省エネ、温暖化ガス排出削減の取組を早急に進めることが必要です。
市民協働で作られた環境配慮住宅型研修施設「旧雨デモ風デモハウス(環境楽習館)」を環境学習や市内施設整備のモデルケースとしてもっと活用すべきです。
「小金井市グリーン購入」ガイドラインは2017年4月に見直され、4項目で購入要件が厳格化されています。市役所内での徹底はもちろんのこと、市民や地域への普及も必要です。
6.放射能汚染への対応・脱原発への取組みを
福島原発事故から6年。事故はいまだ収束せず、汚染水も垂れ流され続けています。小金井市では、チェルノブイリ原発事故後に市民の議会への陳情によって市が購入した測定器で、市民有志による食品の放射能測定が続けられています。今後の課題は、1990年から27年間使い続けている測定器の買い替えや測定体制を充実させること、測定室の周知をより行っていくことです。
測定結果が検出限界(10Bq/Kg)未満の場合でも数値を公表できる体制づくり、機能的に測定可能である土壌など食品以外の測定が行える体制づくりは、市民の安心と財政負担の軽減にもつながります。
特に、放射能に対する感受性が大人の3倍から10倍ともいわれる子どもや妊婦への配慮が重要です。子ども達が半強制的に口にする給食では、食材の細やかな測定と情報開示、産地の選定が内部被ばくを防ぐためには欠かせません。
同時に、高濃度の汚染地域となっている被災地や避難者への対応や支援も求められます。政府の帰還政策により、2017年3月には災害救助法に基づく住宅提供が縮小・打ち切りされました。避難者は厳しい困窮状態に直面しています。避難者へのバッシンングや避難児童へのいじめが顕在化しました。「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく、具体的な施策の実現がない中、チェルノブイリ法の研究と継続した支援ができる新法制定が求められています。小金井から脱原発を訴え続け、被災者や避難者への差別や偏見を許さない取り組みが必要です。
子ども
7.安心して子育てできる環境づくりを
2012年成立の「子ども子育て支援法」以降、保育行政が大幅に改変され、市内特定地域型保育施設10所(定員126名)、保育ママ6人(18名)が新たに国認可のワクに入りました。さらに従来からの公立園5所(563名)、法人立の私立園7所(814名)に加え、企業系8所(567名)の新設ラッシュ。都の認証保育所6所(220名)、市保育室2所(32名)をあわせて、2,340名の定数を用意してもなお、2017年4月には156名の待機児童が出て、需要を満たすことができない状況です。
家庭で子育てする人たちに対する支援も重要です。とりわけプレ幼稚園年代0〜2才は、成長発達の振れ幅が大きく、狭い住宅でひとりの親では育てられません。子どもの育ちに応じた社会環境(人と場所)を用意し、子ども自身をサポートすべきです。
従来からの児童館や子ども家庭支援センターの乳幼児遊びグループ活動のみならず、親子でいつでも気軽に出かけ、安心して交流し、相談し、つながりあえるように、学童保育所でのひろば活動や保育所などと連携し、小学校区にひとつずつ、子ども家庭支援センター的な機能が設置できるような体制が必要です。
公民館や児童館での保育付き講座など市内のどの公共施設でも、ひとつでも子育て支援機能をあわせもつメニューがあればどれだけ心強いことでしょう。未来の子どもに関わる子育て支援という目に見えにくい施策は、安易な効率主義に走ることなく熟議を重ね、優先的に予算を確保すべきです。
「待機児」という言葉や「0」という数字にとらわれることなく、制度や仕組みの変更にふりまわされず、保育を必要としている親や子ひとりひとりの顔を思い浮かべ「子どもの人権」に寄り添う形で、小金井ならでは保育園設置指針を確立するべきです。
8.今こそ「子どもの権利条例」をきちんと使おう
「子どもの権利条例」では、生まれ育った社会環境に関わらず、だれもが等しく健やかに自分らしく育つことが保障されています。2009年に制定された「小金井市子どもの権利に関する条例」は2019年で10年を迎えます。リーフレットはカラーになりましたが、まだまだ具体的な施策も周知も充実しているとはいえません。
のびゆくこどもプランに基づいて作成され、子育て支援冊子として、子どもが産まれる時に手に取ることが多い「のびのびこがねいっ子」に権利条例が明記されていないという大きな問題があります。
「子どもの貧困」が社会的課題となっている今、あらゆる子ども施策及び市の施策に、子どもの権利がどう活かされているか、十分な検証が必要です。
のびゆくこどもプラン推進市民会議が子ども子育て会議にかわり、権利条例の活用を十分に検証する場が無い今、子どもの声を受けとめ権利侵害を是正する、子どもの権利オンブズパーソンの設置および、子どもの権利委員会といった検証機関の設置を真剣に検討するべきです。
9.学校教育にもっと目をむけよう
新学習指導要領の影響に注目しましょう。2018年度より小中学校の道徳が教科化され、評価が導入されます。これは「いじめ問題への対応」や「理性によって自らをコントロールし、より良く生きるための基礎となる力を育てる」ための措置とされています。しかしその本質は、政府が定めた「期待される人間像」に従って子どもを教育することに置かれています。愛国心教育が子どもに内面化される危険性を親はいま一度考えてみる必要があります。現在は、君が代不起立する教員も減り、日の丸君が代が学校に押し付けられていると思う親も少なくなっています。また、道徳が評価されると、子どもは自分の考えを述べずに教員の期待する模範的な答えを用意するという危険性も考えられます。小学校のプログラミング教育が必修化され、小学5、6年の英語を教科化し3、4年に外国語活動を前倒し必修化。学校現場の負担はますます増すことになり教員は多忙ゆえに目の前の子どもに向き合えているのか疑問です。驚くことに中学で実施される新学習指導要領の本文に、保健体育で武道の選択肢として「銃剣道」が明記されました。銃剣は小銃の先に装着する短剣。相手を倒す武器で第二次世界大戦で旧日本軍が使ったもの。戦前回帰としか思えません。戦争の匂いがする危険な時代の中、これからの教育の自由度は、ますます大切になってきます。
教職員の多忙化、非正規化などにより、教育現場が疲弊しています。スクールソーシャルワーカーがきちんと活用されているか、スクールカウンセラーの役割などの検証が必要です。子どもの権利条例に基づいた、子ども主体の教育を学校現場で実践していくことが求められます。
生活保護基準が下がり、生活保護へのバッシングがある中「子どもの貧困」問題は加速する一方です。見えない貧困と教育格差をなくすためにも、就学援助の充実と、教育費の無償化、差別を生む受験制度への抗議の声をあげる取り組みが必要です。困っている人に基準を合わせ、子どもが安心して通える誰一人困らない学校環境を整えるべきです。
詰め込み教育や競争ではなく、子どもが豊かな感性を育み「大人は信用できる」と思える教育を求めます。そのために地域や保護者、教員が一体となり、障がいがあっても無くても、すべての子どもの居場所がある学校を実現しましょう。自由でゆとりある教育と環境を求めます。
格差・貧困
10. 格差・貧困をなくすために
2013年8月から生活保護費が大幅に引き下げられましたが、これは生活保護受給者だけの問題にとどまらず、最低賃金や住民税の非課税、就学援助や保育料、介護保険料などの各種制度にも連動し、非正規労働者、低所得者、一人親家庭、高齢者・障がい者など、市民全体の生活に影響が出ています。
小金井市でも失業者やワーキングプアが増え、生活保護受給世帯が増加。親の貧困とともに子どもの貧困が広がっています。経済的な事情から進学を断念した子どもや、中退者など、貧困が原因で低学歴の子どもに「学習サポート」をすると同時に、「暮らしサポート」として、安心できる居場所作りや、子ども自身が自尊感情を高められるような取り組み、子どもの生きる力そのものを支えることも重要です。 2014年に発表された「子供の貧困対策に関する大綱」に基づく「子どもの貧困対策条例」を制定し、子どもの貧困状況の調査と有効な対策作りが早急に必要です。
『孤食』になりがちな子どもが、ひとりでも立ち寄れる「子ども食堂」は、小金井市でも増えてきました。また、家庭で余っている食品を集め、食に困っている方々に届ける「フードドライブ」を、2016年10月に試行実施しましたが、今後も、子どもも大人も安心できる居場所や、生活困窮者に寄り添い、支援する仕組みを地域で作っていくことが必要です。
生活保護受給者、野宿者への支援は、三多摩の近隣地域で、立川「さんきゅうハウス」、三鷹「びよんどネット」などとの、ゆるやかな連携も始まっています。
生活保護を担当するケースワーカー不足の解消と、生活保護費削減の影響などについても対応できる、職員の資質向上のための研修実施など、今後の生活保護受給者増に対応できるケースワーカーの育成も重要です。
貧困の連鎖を断つための取り組みとして、大阪・西成高校の『反貧困学習』を参考にするなど、生活保護を含めた「社会保障の権利」を学び、貧困を生み出す社会構造を理解する機会や、子ども達に、「すべての人に生存権が保障されている」ことを教育・学校現場から伝えていくための取り組みも必要でしょう。
2015年4月から始まった生活困窮者自立相談支援事業の充実と、2017年度から始まる家計相談と学習支援に注目しながら、滋賀県野洲市のような市役所内でのワンストップの相談支援体制を提案していきます。
介護 ・障がい者支援
11.高齢者・障がい者がいきいき暮らせる地域社会を
2011年10月に高齢者住まい法の改正で創設された「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」、市内には2か所あります。
サ高住では、1日1回の安否確認が義務付けられていますが、国は、当初の想定と違い、入居者の介護度が高いとしており、転倒や死亡事故が1年半の間に3000件以上が起こっています。
行き場のない高齢者が増加していることが推測されます。特別養護老人ホームなど介護施設の充実や空き家の有効活用などによる住宅保証の充実が必要です。
2016年に障害者差別解消法が施行され、自治体に「合理的配慮の提供」が義務付けられました。小金井市でも、自立支援協議会が中心となり、市条例の制定が進められています。昨年末に示された条例案には、障がい児や学校教育に関する記述が抜け落ちている点も課題です。障がいの理解をどのように進めていくのか、障がいのある子どもも普通学級で学べるような体制づくりが求められています。条例は、今秋施行予定ですが、市民が意見交換できる場をより設け、実効性のある条例に高めていくこと、策定後も条例の周知を図り続けることが必要です。
相模原の障がい者施設で19名の方が殺傷される事件が起こりました。条例や計画には、多様な人が地域でともに暮らし生きる社会の実現や、障害者の権利条約にある理念が必要です。
保健福祉総合計画は、2018年度に保健福祉総合計画が改訂され、現在審議会などで議論を重ねているところです。
男女平等
12.男女平等の社会と生活をめざそう!
2017年3月の市議会議員選挙の結果、全議員24名中、
2016年3月に小金井市で、「第5次男女共同参画行動計画」が策定されました。基本目標は、1.人権が尊重され、多様性を認め合う社会を作る。 2.ワーク・ライフ・バランスの実現した暮らしをめざす。 3.男女共同参画を積極的に推進する の三つ。基本目標1の3に「配偶者等からの暴力の防止と被害者支援」(小金井市配偶者暴力対策基本計画)がありますが、 この計画を理念だけではなく実効性のあるものにしていくよう、被害者支援はもちろんのこと、加害者予備軍にも、きちんとした人権を学ぶ機会を設け、人権尊重の理念を根付かせ、人権侵害の行動に至らせないことが必要です。ともすれば、かつて女性の美徳という名目で従事せざるをえなかった、人をケアする仕事などが、社会的に軽く扱われている意識を払拭し、新たな就労・雇用構造を作り上げていくことと、仕事・家事・育児・介護・地域活動等、だれもが平等に分かちあえる関係の実現には、男性の積極的な取り組みと意見も必要です。また、ワーク・ライフ・バランスという言葉を都合よく解釈・利用して、女性や貧困層の非正規化を加速するようなこともあってはならないことです。
第4次計画に反映されなかった、セクシュアル・マイノリティについては、基本目標の主要課題1の中に、「また、最近ではLGBTに総称される性的少数者からの問題提起など、従来の枠にとどまらない新たな課題も生じています。さまざまな社会的・文化的背景を持つ人々への配慮や、メディアや刊行物における人権侵害の防止など、多様性を認め合う社会の実現に向け、さまざまな観点からの対応が求められます。」と記述されました。セクシュアル・マイノリティの当事者の多くは社会にある無知と偏見からカミングアウトできず、自らの存在を肯定するのが困難です。行動計画の基本目標や男女平等及び子供施策等の計画の中に「セクシュアル・マイノリティへの理解と支援」を明記し、職員や教員を対象とした研修の実施を求めます。人権尊重という立場にたち、男・女という枠組のみで捉えず、セクシャル・マイノリティを含め多様性(ダイバーシティ)を尊重した社会づくりが望まれます。また、女性の貧困問題については、同じく主要課題1の6に「困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備」が記述されましたが、厳しい状況にいる人達のニーズにそった支援が必至です。
東日本大地震を経験し、今後首都圏でも大地震が起きる可能性が想定されています。地域での防災計画には女性も参画し、女性や子育てのニーズを踏まえた災害対応が求められます。被災地での性犯罪の防止、セクシャル・マイノリティへの災害対応ができるように、「ジェンダーの視点」を持った職員の養成が重要です。
平和
13.地域から平和力のアップ、多文化共生の街へ
小金井市は、1960年に「世界連邦都市宣言」、1982年には「小金井市非核都市宣言」を行い、2015年には「小金井平和の日条例」を制定。3月10日を「平和の日」として記念行事を行なっていますが、広く市民参加が得られないのが現状で、市行政の広報力、企画力の劣化が見られます。かたや国内では「積極的平和主義」を旗印に安倍政権が「立憲主義」や「立法府国会」を踏みにじる形で閣議決定を乱発し、ついには「9条改憲」へと暴走中。この間、市議会では「集団的自衛権行使容認」や「特定秘密保護法」「共謀罪法案」などに対しての異議申し立ての意見書を何度も可決しました。市民も連携して「こがねいピースアクション2015」をスタートさせ、毎月のニュース配布を始め「パレード」や「イベント」を継続しています。「命とくらし」をおびやかす国家権力に抗うため、地域から「人権」と「公正」を訴え、「平和」を求め、行政主導の「平和事業の限界」を越えるためにも、市民主導の「無防備都市宣言」を制定させて行きましょう。
「防犯カメラ設置条例」など、安全・安心・治安の名のもとに監視を受入れる風潮が、マイナンバー制度(2017年4月末現在、人口の11%の13,323人にマイナンバーカードを交付)のような、生まれたときから番号をあてがわれるという重大な人権侵害を許していることに気づき、その危険性を声に出して伝えていきましょう。
「プライバシー保護」は権力による情報の一方的な収集、管理に対して、個人の内心の自由を含めた「人権の保護」が目的です。地域で直接顔を合わせ共通性を探り、信頼を作りあげる具体的な出会いと交流を、公民館自主講座など、公開された場で作っていきましょう。
あわせて人口の約2%にあたる2,479人(2017年4月末現在)の外国人登録者や、様々な一時滞在の外国籍の方々と同じ小金井住民として出会い、交流し、相互理解を深めることは国が暴走する今こそ、多文化共生の町として自治体の平和外交として、大きな役割と言えます。外国人への差別的な入居拒否やヘイトスピーチが起こらないように、行政自らが多言語での市政情報を発信し、多文化共生の街をめざすよう、人権週間の啓発活動に留まらない不断の努力を求めていきましょう。
市民参加
14.市民参加・市民協働のシステムづくり
小金井市では、市民参加条例に基づき、市民参加推進会議が設置されているものの、市民協働については、指針ができているとはいえ、市民協働のあり方検討委員会の答申が出て5年も経ちながら、それを専門に担う係も課も設置できないままです。
2016年度には、「小金井市協働事業提案制度」が創設され、行政も努力をしていることは否定しませんが、求められている多様な公共施策を進めていくためには、「行政による仕事」だけでは限界があります。市民協働という言葉は造語であるがゆえに、立場によって都合よく使われる場面も多く、安上りの単なる委託事業と誤解されることもありますが、行政だけでは担いきれない市民ならではの視点を生かした「公共」を担う市民による事業主体を積極的に育成・支援する仕組みづくりが必要だと思います。
まずは、プロポーザルの方式についての検討や協働契約、事業の仕様書のありかた(行政と市民団体などが共に仕様書や協定書を作るときの方針など)、協働条例に向けてのロードマップづくりなど、具体的にできることからでも着手することが必要です。
それとともに、すでに協働事業として進められている取り組みについても、市民団体自らも、よりよい協働体制のもと事業を遂行していくという自覚を持ち、市に対して、継続的に働きかけていくことも必要でしょう。行政にしかできないこと、市民だからこそできることなど、互いの知恵を出し合いながら、市民協働の推進を図っていくことが大切ではないかと思います。
15.市民自治の拠点としての新庁舎建設と市の公共施設配置計画
西岡市長は、公約である6施設複合化プロジェクト撤回以降、幾度かの方針変換を経て、現在、新庁舎は中町三丁目のジャノメ工場跡地に建設すること、福祉会館は同地が建設の最有力候補であることを示しています。
第二庁舎のリース早期解消、災害対策本部として耐震基準を満たす庁舎建設はスピード感も大切ですが、いずれも竣工予定は2022年3月。
福祉会館は、代替場所が充分に確保されぬまま閉館しています。利用団体や、「福祉売店りんくの店」「ふれ愛センター」など行き場をなくした市民がいます。早期建設と竣工までの代替場所の確保が必須です。
また、旧福祉会館にあった公民館本館は新福祉会館建設計画における位置づけが不鮮明。社会教育と福祉分野との連携のためにも、福祉会館のなかに公民館をいれていくべきと考えます。
6施設複合化プロジェクトに入っていながら、優先整備からは除外されたた図書館は、開館してから40年以上が経過。図書館としての耐用年数は50年と言われており、福祉会館の二の舞にならぬよう、今から対応を進めていくことが必須です。図書館協議会で、は「今後の図書館のあり方」が審議されています。
2017年3月に公共施設等総合管理計画が策定されました。6割以上の公共施設が老朽化し、今後35年間で1,497億円(年平均43億円)の更新費用が見込まれていますが、定かではありません。
これから迎える人口減少社会における公共施設の再配置、市民サービスの維持は必須です。
16.議会基本条例を活用して開かれた議会に
小金井市議会は24人中10人が女性で、女性比率41.6%は市議会では全国トップレベルです。議会運営も従来から比較的民主的でした。分権時代にふさわしい市民に開かれた力のある議会をめざした改革もすすみ、一般質問席の対面式への変更、傍聴者による写真・ビデオ撮影、録音などの規制解除、日曜議会開催、陳情・請願者の陳述などを行ってきました。
2011年には、市民の陳情と自主中継も経て、ほぼ全ての会議のインターネット中継が始まりました。さらに改善を進め、2017年からはyoutubeでの安定した配信になりました。
市政の意志決定とチェックの役割を充分に果たし、議会への市民参加を進めるための議会基本条例を5年かけて策定し、2016年8月に施行されました。
条例策定の議論と平行して、議会の広報機能を充実するため、広報協議会を設置し、市民へのアンケート調査を元に、議会報の改革を進めています。また、2016年10月には初めての議会報告会が開催されました。2017年は市民からの意見を参考に改善を進めます。
予算、決算の審議を見直し、議会として市長に提言・提案できるシステム作りが必要です。
市の計画を作成する審議会や市民検討委員会などに、議会の意見をどのように伝えるか、市民と議会との有機的なつながりを深め、議論の活性化をめざします。
17.一部事務組合と広域での事業連携を見直そう
一部事務組合は複数の自治体が行う事務の一部を共同処理して効率化を図る目的で設立されています。小金井市は、湖南衛生組合、競輪事業組合、競艇事業組合、たま広域資源循環組合、その他、広域での事業連携として後期高齢者医療広域連合と昭和病院起業団の構成市になっています。湖南衛生組合は現在見直し中。そして2015年7月には新たに可燃ごみ共同処理の浅川清流環境組合が設立されました。
各組合の理事者や議員を各市の市長や議員が兼ね、両方から報酬を支払う二重報酬の見直しや、情報公開、市民参加などにも十分対応できる運営への改善が求められます。
そもそも、広域での複数自治体の協力による効率化などのメリットと、その事業が市民から遠くなり、監視や参加という自治の意識や機能が働きにくくなるというデメリットの両面を把握して見直すことが必要です。
公共サービス
18.劣化する公共サービスの改善にむけて
稲葉市政の16年間、小金井市の公共サービスのあり方とその担い手が大きく変貌してきました。西岡市長も職員削減を掲げています。
正規職員は、668 名(2014年)、658名(2015年)、671名(2016年)、再任用職員は59 名(2014年)、43名(2015年)、32名(2016年)でした。
2016年度の増加は、再任用職員減少などによるものですが、正規職員の削減が行財政改革の大きな成果とされてきました。しかし実態は、正規職員が退職した後の欠員を非常勤職員で埋めてきたのです。現在はさらに民間業者への委託を進め、人件費を削ろうとしています。非常勤職員は正規職員と同じ仕事をしながら、〈補助的な仕事〉と見なし、賃金は正規の3分の1、退職金もなく、身分も不安定な官製ワーキングプア状態です。このような非常勤職員は2016年4月現在、全体の3分の1を超える275名にもなっています。「職員人件費の削減」は歪みと格差を生み出しているのです。
さらなる行革をはかるために、2017年4月、行財政改革プラン2020を策定しました。すでに、5校の小学校給食調理業務と4校の学童保育所、2つの地域センターが外部委託され、さらに公立保育園2園の民間委託が進められています。
非常勤や臨時職員、委託業者の労働条件の不安定さを改善できるよう、委託費の積算根拠を明らかにできる体制が必要です。委託による経費削減は、人件費削減よるものであり、ワーキングプアやサービスの低下の点から問題です。
併せて、公契約条例の早期制定が課題です。数年にわたる内部検討が続けられていますが、いまだ条例提案されていません。市役所の仕事の多くはすでに民間会社に委託されています。「公契約条例」とは、入札金額だけでなく、公正労働基準、環境や福祉、男女平等参画等による総合的評価で委託業者を選定するものです。これにより、市は、安易なコスト減だけの発注ができなくなり、委託業者も、企業のあり方、労働者の働く条件などをキチンとしていないと落札できなくなるというものです。
また、貫井北町地域センターを官製NPOに委託した事例をふまえ、早急に市民協働の契約制度を整えなければ、随意契約ガイドラインや地方自治法に抵触する事例が増えてしまいます。
19.これからどうなる小金井市の財政
2015年度の歳入は、市税のうち、個人市民税と固定資産税の増加もあって、前年比より約21億増の400億円を超えたが、歳出も民生費、土木費の増加でほぼ同額の20億強の増となっています。
歳出のうち、人件費1.6億減は退職金の減等によるもの。保育所の委託料5.9億円は扶助費に、学童保育所の委託料1.3億円は物件費に計上され、人件費にあたる部分は実質増加。土木費は武蔵小金井南口第2地区、東小金井北口の整備事業もあって5.3億円の増となっています。一方、教育費は2億円減と土木費に手厚く、教育費に冷たい傾向は相変わらずと言えます。
2015年度の経常収支比率は90.8%(多摩26市15番目)と、多摩26市で最下位だった2013年度の96.7%からやや持ち直しました。しかし、市民1人当たりの財政調整基金残高は、15,999円で、多摩26市中24位(多摩26市平均23,989円)と、不測の事態や将来の事業に備えた積立金としては心もとない状況が続いています。
市債(借金)残高は、2013年時点での305億円から2015年度は261億円に減額しましたが、建設事業債は増額となっています。今後も駅周辺の整備や、多くの公共施設の建て替えが迫っていることから今後も増額が続くと思われます。
以上のように、危機的な財政状況が続く現状では、国からの交付金や地方債等といった既存の制度にたよるだけではなく、より効率的に予算を使うための工夫が迫られています。土木費偏重の無駄な再開発や道路整備をやめ、今こそ手厚い教育・福祉事業の実現に舵をきるべきです。
以上